『イノセンス』(映画)──最新技術を観たり聴いたりするのではなく「哲学」を読む作品 2004.10.31 映画・テレビ 『スチーム・ボーイ』『ハウルの動く城』といった作品を観る前に判断するなら、アニメ史上の最高傑作であることは間違いない。ただ、監督はもちろん、作画、CG、音楽など、制作陣のクレジットを眺めてみれば、いわばよく出来ているのは当然であって、期待に応えてくれたという思いはあるけれど、隠れた名作というわけ
『777─Best Of dream─』(CD)──ボーカリスト間の落差がさらに際立つ予想通り(?)の仕上がり 2004.10.31 音楽 違和感があるのは仕方ない。だって歌っている人が違うのだから。問題は、「違和感」というマイナス要素をどうプラスに転化させるかだ。違和感があるという時点で逃げ出してしまった者たちのことはどうでもよい。前作の楽曲が脳にこびりついて、どういう作り方をしようと違和感が生じるのは避けられないけど、まあ温
『フォーン・ブース』(映画)──趣向」の面白さだけじゃないのがエラい 2004.10.24 映画・テレビ 電話ボックスの中だけで物語が展開するという非常に珍しい趣向の作品。こういったタイプの作品は、えてして「趣向」の面白さが先に立ち、肝心要の脚本がおろそかになりがちだが(そうだとしても映画としては成立し、評価されることが多いのだが)、中だるみすることもなく、最初から最後までまったく目が離せない作品に
『昭和歌謡大全集』(映画)──タイトルから想像するとおりの…… 2004.10.24 映画・テレビ 『昭和歌謡大全集』という題名を聞けば、誰もが懐古趣味というかノスタルジーに浸ることを目的とした作品を想像するだろう。しかし、いざフタを開けてみると、オバサンと若者が殺し合うという、ゆる〜い『バトル・ロワイアル』とも言うべき、ブラックな映画なのであった──実際はそれがわかってて観るのだが。昭和
『天誅 紅』(ゲーム)──「時代劇」なのになぜかラテン系 2004.10.24 ゲーム 「敵の行動パターンを読み解き、発見されないようにしながら目的を達成する」というゲームといえば、『メタルギアソリッド2』『サイレン』などのタイトルが頭に浮かぶ。前者は“コメディ”、後者は“ホラー”だ。つまり、このタイプのゲームは、全体のテイストをいかようにももっていくことができるということ。で、『
東野圭吾『片想い』(本)──東野作品には珍しい「複雑」な話だが…… 2004.10.11 書籍・雑誌 十年ぶりに再会した女は男になっていた。彼女から殺人を告白された主人公は、同級生たちの妻や友人たちとともに、彼女をかくまうことを画策する。他の作家の作品と比べて、込み入った人間関係もないし、奇をてらったトリックもない、というのが東野作品の特徴だと思っていたが、本作はいつになく「複雑」だ。しかし、その
『dream party 2』(DVD)──ボーカリストの2分化により失われる一体感 2004.10.11 音楽 たとえば昨年のライブ『dream live 2003』のころに比べれば、それなりに力はついているのかもしれないし、全体的に洗練されているのかもしれない。しかし、歌唱力について見れば、メインボーカリスト3人とその他のメンバーとの差が広がる一方であり、ひとつのグループとしての一体感に欠ける点に違和感