『冬のソナタ』(テレビ)──これはラブストーリーではなくホラーサスペンスである 2004.08.23 映画・テレビ 本作品は純愛物語ではなく恐怖物語である。まずこの前提条件を受け入れるところから始めるべし。「ヨン様フィーバー」だの、「今の日本にはないピュアなドラマ」だのといった前評判に惑わされて敬遠していた人も、この「前提条件」を認識することで、楽しみがぐっと広がるってもんだ。この作品を「恐怖の物語」と評する根
『光の雨』(映画)──事件を客観化して本質に迫ろうという狙いはわかるが 2004.08.15 映画・テレビ 1972年に起こった連合赤軍同志リンチ殺人事件を題材にした映画。単純に言えば、『突入せよ!「あさま山荘」事件』(原田眞人監督)の前の物語を、警察の側からではなく彼らの側から描いている。と、「単純に言えば」そうなるのだが、この映画の登場人物は、「連合赤軍同志リンチ殺人事件を題材にした映画」を撮っている
奥田英朗『最悪』(本)──小石を積み上げた「砂上の楼閣」が崩れ去る快感 2004.08.15 書籍・雑誌 この物語の主人公は3人。不況にあえぐ鉄工所社長、家庭問題や勤め先のセクハラに悩む銀行員、ヤクザに弱みを握られたチンピラ。少しずつ綻びを見せていくこの3人の人生・生活が丹念に描かれていく。無縁だった3人の関係が交差するとき、それぞれの人生が「砂上の楼閣」であったことがわかる。「砂上の楼閣」といっても、
『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(映画)──この際<マクロ>の視点は捨てて鑑賞せよ 2004.08.08 映画・テレビ 紛争地帯で医療活動をしているアメリカ人医師を救うため、特殊部隊が現地へ向かう。主人公の大尉は、当の医師だけでなく、避難民までも救うことを決意したため、任務は危険な方向へと向かい出す。そもそも『ダイ・ハード4』として企画されていたと聞き、軽いノリを期待していたのだが、予想以上に“重い”のに驚いた。
衿野未矢『依存症の女たち』『依存症の男と女たち』(本)──「依存症」の相手に向き合う態度に好感が持てる 2004.08.01 書籍・雑誌 就職の相談をしている最中、相手が話しているのを遮ってケータイに出てしまう女子大生。少しでも空腹を覚えるとお菓子やおにぎりなどを口にしてしまい、常に何か食べている状態になっているOL。いずれも、犯罪というわけじゃない。社会的に直ちに「悪」とされるわけじゃない。本人の生命に関わるわけでもない。た