ゾンビに人権はあるか?[3]──なぜ攻撃ヘリを向かわせた!?

政府高官X「そうは言うけどもね、キミ。レオンくんは立派に結果を残しているではないか」

そうなのです。「大統領の娘を救出する」という当初の目的は達しているのです。そこは私も評価したい。

「プラーガのサンプルを回収する(サドラーから取り戻す)」というほうは、エイダさんのスリットの入ったお召し物に気を取られて奪われてしまいましたが……。

でも、サンプルの件はそもそも政府の命令に入っていないし。

X「だったら何が不満なのかね?」

いや、〈結果よければすべてよし〉というのは、なんだか危険なような……。なんか、村人の家に勝手に入って、鍵のかかったドアを蹴破ったうえに、お金も盗んでいませんでした? これはプライバシーの侵害だし、財産権の侵害だと思うのですが。

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X「でも、そのお金がなければ、商人から武器を調達できず、敵を撃退することもできなかったはずだ」

まあたしかに、盗んだお金で「フィギュアを全シリーズ大人買い♪」ってわけじゃないし……あれ? レオンはフィギャア集めてませんでした?

X「それは、射的ゲームの景品だろう。お金は使っていない」

そうでした、そうでした。ということは、やはり村人たちがプライバシー権、財産権、つまり〈FHR〉(人権)を持つかどうか、ってことに尽きるのかなあ……。

X「ガナードたちが人権を持っていると?」

彼らはアメリカのことを憎んでいるふしがあります。ひょっとすると、サドラーや村長のマインドコントロールかもしれませんけど。そうなると、村人たちが攻撃的なったとしても罪はありませんし、武器の使用は適正であったかは疑問が出てきますよ。

X「しかし身を守るためには、発砲は必要だろう」

そうだとしても、村人が尋常でない相手だとわかった時点で、なぜレオンは助けを求めなかったのでしょう? ひとりで解決できる問題ではなかったのは明らかでしょう?

X「いや、彼は助けは求めた。現に合衆国側はヘリも飛ばしている」

それだ! なぜ軽々しくヘリを向かわせたのです? レオンの武器使用よりもっと罪深いですよ。まさにかの国に宣戦布告をしたに等しいですからね。相手国の兵士にも相当死人が出たでしょう。しかも、ヘリは撃ち落とされましたよね? ソマリアの悲劇(モガディシュの戦闘)を忘れたわけではないでしょう。

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X「映画『ブラック・ホークダウン』でも描かれたあれか……。大丈夫。ヘリのパイロットの家族にはきちんと補償金を出しているし、情報もきちんとおさえた。メディアには流れていない」

そういう問題じゃないんだけどな……。でもどうします? ガナードに〈FHR〉(人権)を認めるのか、人間として扱うのかははっきりさせないと、今後の活動にも支障がでますよ?

X「だが、BOW(生物兵器)への対処はすでにBSAAが行なっている。アメリカが矢面に立つことはないよ」

たしかに。〈ガナード〉を生み出す種である〈プラーガ〉は、すでに世界に拡散し、アメリカ一国では対処できなくなっています。

ゾンビやガナードが〈FHR〉を持つかどうかの問題は、早急に解決しなければいけない事態になっているといえます。

石原都知事が尖閣諸島を購入──地方自治体は〈安全保障〉の主体となりうるか?

東京都知事の石原さんが、尖閣諸島の一部を都が買い上げる意向を表明したことで、物議を醸しているようです。
〈国がやらないから都が一肌脱ぐ〉
その発想はなかった! ……と言いたいところですが、似たようなことは私も考えたことがあります。
たとえば、日本国憲法では、国の交戦権が否定されていますが、〈地方自治体〉の武装は禁じていないのではないか、ということです。
〈地方自治体〉は「民主主義の学校である」と言われています。その長を直接選挙で選ぶわけですから、国会議員から総理大臣を選ぶような“まどろっこしい”方法よりも、民主主義の実現度が高いというわけです。
そう考えると、〈安全保障〉を〈国〉にまかせきりにするのではなく、〈地方自治体〉みずからがやってしまうというのは、ひとつの考え方であります。
「〈国〉をさしおいて〈地方自治体〉のひとつにすぎない〈都〉がでしゃばるな」みたいな言説には注意を払う必要があるでしょう。
となると、東京都が独自の軍隊を持つ──という選択肢もありそうですが、お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみたなどでも述べたとおり、「武力で平和を実現する」ことには無理があります。
また、尖閣諸島の問題に関していえば、地球上で起こっている戦争(紛争)は、その原因を突き詰めると、ことごとく「領土問題」になる、ということを考えると、都が尖閣諸島の一部を購入するのは、意味がないどころか有害となる恐れもあるわけです。

ゾンビに人権はあるか?[2]──レオンは侵略者?

もし仮に、われわれが「ゾンビ」(ガナード)に襲われたとして、自分の身を守るために発砲し、なおかつ相手を死なせてしまった、としたらどうでしょうか。
そもそも銃を持つことが違法かもしれないのですが、そうだとしても〈人権〉(FHR)の問題は生じません。
〈人間〉と〈ゾンビ〉の間には〈FHR〉は成り立たないからです。
では、われわれが警察官だったとしたらどうでしょうか。
警察官は〈国家機関〉の一員ですから、〈FHR〉の問題が生じる可能性があります。
〈警察官〉と〈人間〉の間には〈FHR〉が成り立つからです。
とはいえ、警察官とはいえ生身の人間ですから、正当防衛で武器を使用することは認められるでしょう。
では、『バイオハザード4』のレオンの場合はどうなのでしょうか。
たしかに、「村人が襲ってきた」→「差し迫った生命の危険がある」→「危険を排除するために発砲する」という一連の流れに不適正な点はないように思われます。
ところが、レオンは住人の許可なく勝手に家に入りこんでいます。
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村人からすれば「銃を持ったわけのわからない男が、気づいたら家の中にいて、何やらわめている」。そう思えたとしても不思議ではありません。
つまり、村人のほうこそ「生命の危険」を感じたのかもしれません。だから、武器を手に取り、身を守ろうとしたのでしょう。
そもそもなぜレオンが行方不明者の捜索をしているのでしょうか。
対象がアメリカ大統領の娘である、という大義名分はあります。だから、ここがアメリカ国内であれば、問題は生じません。
しかし、ここは外国なのです。
犯罪が起こった場合、いくら被害者が外国人であろうと、捜査はその国の警察が行なうのが一般的です。
これを〈国家主権〉と言います。
現に、レオンは現地の警察の案内で村にやってきました。
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現地の警察を差し置いて、外国(アメリカ)の捜査官が住宅に侵入、住民に対し発砲し、殺害してしまった。
これが『バイオハザード4』の序盤で起こった出来事です。
著しい〈人権〉侵害であると同時に、〈国家主権〉侵害であるといえます。
──と、ここまで論を展開してきたものの、何か違和感があるのもたしかです。
主人公(=レオン)がとてつもない悪者──というのでは、ゲームをプレイするためのモチベーションが上がりません。上がる人もいるかもしれませんが、罪もない人を殺すのは、いくら虚構とはいえ嫌です。
レオンを救う方法はないのでしょうか。「レオンは正義の味方」。なんとかこの結論を導き出せないのでしょうか。
これを次回以降の課題としたいと思います。

ゾンビに人権はあるか?[1]──『バイオハザード4』から〈真実〉を見つける

〈ゾンビに人権はあるか?〉

──ほとんどの人にとってまさに「どーでもいいこと」だろうと思います。『バイオハザード』ユーザーでさえも、関心を払うことのない問いかけでしょう。

しかしながら、テレビゲームという虚構の世界にも、〈真実〉や〈理(ことわり)〉が含まれている場合があります。それは、このブログでもしばしば取り上げてきたとおりです。

今年は、「バイオの年」でもありますので、そこにちゃっかり便乗していきたいとも思うわけです。

前回の【声優学入門】でも取り上げた『バイオハザード4』ですが、ここに〈真実〉は含まれていないでしょうか。

老若男女がプレイし、世界中で親しまれているゲームですから、一見すると気づかないけども、重要な〈何か〉が隠されているはずです。

というわけで、まずはゲーム序盤の展開から検証していきましょう。

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【戦争と平和】『バトル・ロワイアル』を見ながら〈集団安全保障〉を考える

最近の注目の話題といえば、北朝鮮とミサイルの問題でしょうか。

まさに〈戦争と平和〉に関わる重大事だけに、このブログの守備範囲といえます。

しかし、〈戦争と平和〉の問題を論じる際には、〈死刑〉と同様に、あらかじめ〈モノを考える枠組〉を作っておく必要があります。

そうしないと、「ミサイルが飛んできたら撃ち落とせばよい」などといった〈理念〉も〈実効性〉もない方法しか提案できないことになります。

実際、多くの人がこの問題をどう捉えたらよいかわからないというのが現状ではないでしょうか。

そこで今回は、“ミサイル問題”を考えるための〈枠組〉づくりに挑戦してみたいと思います。

ただし、今回は〈枠組〉のためのきっかけを作るだけで、問題の具体的な解決策を提示する余裕はありません。あくまで、〈理念〉を構築するためのとっかかりを見つける作業に励むだけです。

では、始めましょう。

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まだまだお正月気分が抜けないので引き続き「戦争と平和」について考えてみた

今年は、仕事始めの1日目から雑誌の校正作業というハードな幕開けでしたが、喉元過ぎれば三連休ということで、まだまだお正月気分が抜けません。

といったわけで、引き続き今日も「戦争と平和」について考えてみます。

1日目に、自分や他人の幸福を守るという〈目的〉を実現するための〈手段〉として日本国憲法が使えそうだ、といった意味のことを書きました。

また、日本国憲法には第9条しかないわけではない、ということも述べました。

なので、今回は憲法改正について定めた第96条について考えてみます。

憲法が自分や他人の幸福追求のための道具であるならば、状況に合わせてカスタマイズしたり、バージョンアップしたりするのは合理的な方法といえます。第96条はそのための条項ということになります。

ところが、実際に改正のための条件をクリアするのはかなり大変です。つまり、日本国憲法では簡単に改正できないような条項になっているわけです。 なぜなのでしょうか。

この点を考えるために、『カイジ』(福本信行:著/講談社)を参考にしてみましょう。

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お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみた──最終日:藤子・F・不二雄「宇宙船製造法」

お正月に考える戦争と平和シリーズ。最終日の今日は、14年前にもミニコミ誌で取り上げたことがあるのですが、藤子・F・不二雄先生のSF短編「宇宙船製造法」(『みどりの守り神』中央公論社に所収)をご紹介したいと思います。

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お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみた──3日目:小林泰三「C 市」

昨日は〈強盗論〉には「恣意的な状況設定」という問題があると述べました。

では、恣意的でない状況設定、いいかたをかえれば、現実の世界に限りなく近いたとえ話とはどんなものか。

今日はこれを考えてみましょう。

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お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみた──2日目:『サイレン』

他国に攻められたときのために軍隊を持っておくのは当然──というのが自衛隊(日本の武装)賛成論です。

これをわかりやすくするために、「強盗に襲われたとき、抵抗せずになすがままにしろというのか。反撃するのは当然だ」といったたとえ話で説明されることがあります。これを仮に〈強盗論〉とでもしましょう。

今日はこの〈強盗論〉について考えてみます。

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お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみた──1日目:『プレデター』

お正月のように、普段の喧騒を離れ、まるで悠久の時間が流れているような、そんなゆったりとした精神状態のときには、せわしない日常では思い至らない、大局的かつ抽象的なことがらに思いを巡らせるのに絶好の機会となります。

で、新年は「戦争と平和」という大仰なテーマに取り組んでみることにしました。

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