押井守『これが僕の回答である。1995-2004』(本)──「アニメ」だけでなく「人生」の作り方も書いてある 2005.05.29 書籍・雑誌 名実ともに日本を代表するアニメ監督である押井守氏のエッセイ集。本書で語られているのは、『パトレイバー』『うる星やつら』『イノセンス』といった具体的な作品の裏話であり、アニメ業界全体の問題点であり、映画監督、表現者としての喜びや苦悩だ。だから、そういった話に興味のある人は、存分に楽しめることだろう
春橋哲史『太陽系を縦断せよ』(本)──往年の本格SFの匂いが漂う本書は<物語>ではなく<ディティール>を読め 2005.05.12 書籍・雑誌 タイトルはスバリ『太陽系を縦断せよ』。ようするに「太陽系を縦断」する話だとすぐわかる。まさに直球。このタイトルに象徴されるように、往年の「宇宙モノ」小説を現代に復活させた正統派の本格SFなのである。もくじを開いてみよう。「第2章 出港」「第3章 事故」「第4章 復旧」……などと、ストーリー展開が
『予言』(映画)──「ホラー映画とは何か」を考えさせられる 2005.05.06 映画・テレビ 鶴田法男監督といえば、「とにかく幽霊が怖い」という作風で知られる一方、「心が温まる」作品も数多く手がけている。この『予言』は、それら相反する二つの要素をひとつの作品に入れ込んだ意欲作であるが、鑑賞した直後にあったのは、「ホラー映画としては中途半端だ」という違和感であった。しかしながら、単なる<駄