【カクスコ名言集】「ごちゃごちゃ考えるっていうのは、何も考えないのと同じ」

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伝説の劇団「カコスコ」の公演から、名台詞を紹介していくシリーズの第3弾。今回は、ぬいぐるみ劇団「丸子組(まりこぐみ)」の団員がドタバタする「上りの始発」を取り上げます。
団員の久保木が掃除をしていると、副団長の浜田が缶詰めを持ちながら「オーイ、オーイ」と誰かに呼びかけています。
丸子組は、1週間ほど前からこの古い駅舎で寝泊まりしているのですが、そこにいた猫にエサをあげたりして、可愛がっていたようです。
しかし、今日は姿が見えないので、浜田がエサの缶詰めを持ちながら探していたわけです。
問題は、猫に名前がないことです。だから「オーイ」と呼ぶしかありません。
そこで、浜田は「今、つけちゃおうか」と久保木に提案します。
久保木は、「今つけた名前を呼んだって、猫が出てくるわけがない」と反論します。
それに対して浜田は、


ごちゃごちゃ考えない。ごちゃごちゃ考えるっていうのは、何も考えないのと同じことなんだから。

といって取り合いません。
これは、なかなか示唆的な言葉です。
たしかに、いくら考えても結論の出ないゴタゴタ、考える意義のない課題、今考えるべきでない問題に頭を悩ませることは日常生活でもよくあることです。
そんなとき、私は浜田さんのこのセリフを思い出し、戒めとしています。
結局、浜田は猫に「ペス」という名前を付けます。当然、久保木からは「それじゃ犬ですよ」というツッコミが入ります。

【カクスコ名言集】「人間なんてね、この大宇宙に比べたら、もうこんなちっぽけなものなんですから」

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伝説の劇団「カコスコ」の公演から、名ぜりふを紹介していくシリーズの第2弾。前回と同じ「年中無休」からのひとこまです。

社員の保坂が仕事をするかたわらで、社長の高田が「長髪・ギター・バッグ」の姿で、“岡林”と称して歌っています。

保坂は仕事の邪魔をしないよう頼みますが、高田は気分が落ち込んでいるので歌でも歌わなければやっていられないというのです。 そこで保坂は高田に悩みを打ち明けるよう話します。

保坂「どんな悩みにしろね、人間の悩みなんつーのはたいしたことないんですよ」
高田「そう?」
保坂「そうですよ。人間なんてね、この大宇宙に比べたら、もうこんなちっぽけなものなんですから(略)人間の一生なんてね、この大宇宙の時の流れに比べたら、もう瞬きするより短いものなんですから。そんなね、くよくよ悩んでいる暇があるんだったら、どんどんどんどん前向きにいかなきゃ」

意を決して高田が告白した内容は、「給料が遅れる(ひょっとしたら出ないかも知れない)」というものでした。

でも保坂は怒るに怒れません(なにせ宇宙は広いですから)。

もちろん、カクスコの公演ですから、ここは笑うところです(前回も述べたように、文字にすると面白さは消えてしまうのですが、場内は爆笑です)。

笑えるか笑えないかは重要ではなく、注目したいのは、一種の“ギャグ”として保坂が口にしている「人間なんてね、この大宇宙に比べたら、もうこんなちっぽけなものなんですから」というセリフです。

心が正常なときは、ギャグにしか聞こえないセリフも、ほんとうに心が沈んだときに思い出すと、「自分の悩みは この大宇宙に比べたら、もうこんなちっぽけなもの」と思えてきて、救われることもしばしばあります。 予想以上に効果てきめんですので、ぜひみなさんもお試しください。

【カクスコ名言集】「幸せってこういうもんかもしれないなあ」

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カクスコといえば、2002年に惜しくも解散した劇団で、知る人ぞ知る存在です。

小劇場の新宿シアタートップスを本拠地としていたこともあって、チケットは即日完売。個人的にはついに実際の公演を見に行けなかったのが一生の不覚。そんな劇団です。

カクスコの6人はみんな芸達者なので、映画やドラマなどで、しばしば顔を見ることがあります(最近だと、座長・中村育二さんの『クライマーズ・ハイ』の編集局長役が印象的でした)。
アドリブは一切なし。稽古の積み重ねによる緻密に計算された演技が特徴です(0コンマ何秒タイミングがずれただけでも成立しないシーンがある)。

シチュエーションや役どころは公演ごとに微妙に異なるものの、小さいなアパートや仕事場を舞台に、男ばかり6人が騒動を巻き起こす、というストーリーはどの公演でも共通しています。

「騒動」といっても、“内輪ウケ”のような日常的なゴタゴタです。“内輪ウケ”のはずなのになぜか誰もが共感できるという不思議な世界が展開していきます。

登場人物の中には既婚者がいる場合もありますが、たいていは独身で、無職の人がいたりします。また恋人がいても別れ話でもめていることもあります。

いわば社会の“負け組”たちの集まりがカクスコというわけです。

悲哀は漂っていますが、悲壮感はない。胸に響く言葉は数多くありますが、決して説教じみていない。

このブログでは、そんなカクスコの公演で語られたセリフの中から、印象的なものを取り上げていきたいと思います。

ただ問題は、セリフの一部分を取り出してきても、カクスコの魅力はまったく伝わらないということです。

あくまでもストーリーの中でふっと漏れるひとことだからこそ輝きを放つのであって、「名言」として焦点を当てても、それ自体はありふりた表現である場合がほとんどなのです。

しかし、今ではカクスコの公演を観ることができないこと、あくまでセリフは“きっかけ”にすぎないという意味で、ここで取り扱っていきます。

今回ご紹介するのは、古道具屋「朝日堂」を舞台とした「年中無休」(1992年)からのひとこまです。

朝日堂の社員たちが乗った車が脱輪し、どしゃぶりの中、車を動かす羽目になりました。

服を乾かす間、ストーブのまわりで一騒動があり(この「騒動」の完成度の高さは異常)、缶コーヒーで人心地ついたときに社員のひとり・日置がいったセリフが

「幸せってこういうもんかもしれないなあ」

です。

言わんとすることは、「小さい幸せを見逃すな」ということですが、すかさず「小さいことで満足しろってことですか」という突っ込みも入ります。

どっちが正解か、という結論はこの場面では出ませんが、この「小さい幸せを見逃しているかもしれない」というのは、なかなか示唆的なセリフといえます。