女子高生54人が新宿駅のプラットフォームから集団飛び込み自殺するという壮絶な場面から物語は始まる。
女の子の身体がぐちゃぐちゃと電車の車輪に轢かれ、プラットフォームが血の海と化し、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開する部分……よりも、飛び降りる直前まで全くの日常風景が描き出される方が実は怖い。別に悲壮な表情をしているわけでもなく、実にあっけらかんと「いっせ〜の」で飛び込んでいくのだ。
集団自殺の原因は劇中ではほとんど明らかにされない。「因果関係」があるらしい怪しい集団も登場するが、ほんとうに関係があるのか全く不明であり、そもそも関係があるかないかなどたいした問題ではない。
「死」と「生」、「虚構」と「現実」は紙一重であるということがこの物語の本質であり、関係があったところでどうしようもないのだ。
「ネット自殺」「犯罪の低年齢化」「ゲーム感覚」などといった、現実社会の“病症”を何となく整理したいときに使いがちなキーワードがあり、それらの言葉が持つ“気分”を映画として表現したのがこの作品だろう。
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