あらあら、これまたエライ親切になったでないの。簡単になったでないの。こりゃ楽しいわい──。
本作をプレイしてみて、誰もが抱く感想はこんな感じだろう。
たしかに、「倒した敵の武器を奪える」だの「ゲームオーバーになっても途中からやり直せる」だの、前作をプレイした誰もが「次回作では改善してほしい」と思っていた点が本作では見事に実現されている。
ライトユーザーからヘビーユーザーまで、幅広い層に遊べるようになったのは確かだ。
しかし、それではたして良いのか、という思いが心のどこかに残る。
「ニンテンドーDS」のゲームではなく、あくまで“本格”指向のPS2用ソフトなのだ。だから、実は「親切になった」「簡単になった」ということで喜んでいてはいけないのだ。
難解だからこそ、それを解いたときに達成感が生まれる。この基本を忘れてはいけなかったのだ。
前作には、物陰から迂闊に顔を出しただけでたちまち窮地に追い込まれるといった、抜き差しならない緊張感が漂っていた。ゲームを起動させるのにも一定の勇気を必要とした。それはプレイヤーだけでなく、仮想の世界で蠢く「敵」たちにも当てはまった。彼らは何かに急き立てられるように、われわれに襲いかかってきた。
しかし、今作の敵にそのような切迫感は感じられない。
今回“親切設計”とも言うべきさまざまな工夫を施した開発者の意図はわかる。前作の不備を改善したというより、間口を広げたと言うべきで、前作の制作時に、難易度を上げるためにわざと排除した要素を今回あえて復活させたと見るべきなのだ。
だから、今回はゲームを起動するのが恐ろしいどころか、むしろガンガン遊んでみたい気分になる。
本当は、娯楽としては、本作の方向性は正解なのかもしれない。あえて前作と同じことをしなくてもいいだろうという考え方もある。
だが、ホラーとしては、前作のほうがやはり“純度”は高いだろう。前作の難易度の高さは、ホラーとしての恐怖を構成する重要な要素のひとつだ。
そう考えると、今回は「ホラー」というより「ダークファンタジー」として理解すべきなのかもしれない。
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