『もしドラ』のあとに真反対の『カイジ』を観るという幸せ

プロダクション I.Gによる『もしドラ(もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)』を観たあとに、マッドハウス制作の『カイジ』を観ると、両者のあまりに対照的な作風に、味わい深さを感じてしまいます。

パッと見の印象はまったく異なる2作品ですが、実は「勝ちの仕組みを作る」という意味では共通するものがあります。

『もしドラ』は、経営学を野球に持ち込む話で、試合展開を追うものではありません。『カイジ』も表面上描かれているのは「ギャンブル」ですが、主人公のギャンブル哲学は相手の“ビジネスモデル”に歯が立ちませんでした。

『もしドラ』の冒頭で「ドラッカーはビジネスマン必携の書」といったナレーションが流れます。「ビジネスマン」は〈起業家〉〈経営者〉という意味だと思いますが、サラリーマン(雇われ人)であっても、「これからの時代、どう生きるか」という観点から考える際の参考になると思われます。

一方『カイジ』で、主人公・カイジの敵である大槻班チョーの語る「明日からがんばろうというやつに明日はこない」などの人生訓は、われわれが銘記すべきものです。

とはいえ、いずれの作品も、単に「勝ちの仕組みを作る」ための方法を解説するだけでは、物語としては無味乾燥なものになってしまうでしょう。

『カイジ』は原作では、ギャンブルの展開や、「勝ちの仕組み」を淡々と描くのではなく、そこに熱い“パッション”が付け加えられており、アニメ版でどう再現されるか期待の高まるところです。

『もしドラ』の原作は未見ですが、“経営学”をどう“情熱的”に描いていくのかが注目ポイントと言えそうです。

[追記]『もしドラ』の原作を読みました。

もし野球にも経営学にも興味のない男が『もしドラ』を読んだら

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