『予言』(映画)──「ホラー映画とは何か」を考えさせられる

鶴田法男監督といえば、「とにかく幽霊が怖い」という作風で知られる一方、「心が温まる」作品も数多く手がけている。

この『予言』は、それら相反する二つの要素をひとつの作品に入れ込んだ意欲作であるが、鑑賞した直後にあったのは、「ホラー映画としては中途半端だ」という違和感であった。しかしながら、単なる<駄作>として切り捨てられないのもまた事実だ。

なるほど、<恐怖演出>は、ジャパニーズホラーの第一人者だけあって、押さえるべきところは押さえている。主演の二人を始めとする役者陣も上手いし、音楽も良い仕事をしている。ようするに、映画として欠点らしい欠点は見つからないのだ。

では、鑑賞直後に感じた物足りなさは、いったい何なのか。

それはおそらく、本作品が「幽霊怖い」ではなく「新聞怖い」をテーマにしていることが原因だろう。「幽霊以上に怖いものは存在しない」というジャパニーズホラーの原理原則がここでも確認できるわけだ。

鶴田監督の過去の作品で本作品より「怖い」ものはゴマンとあるわけで、「怖い・怖くない」という単純な(しかし決して軽視できない)基準だけで言えば、この『予言』は過去の作品より劣るということにはなる。

鶴田監督ならば、「幽霊怖い」というテーマでいくらでも「怖い」作品は作れただろう。そこをあえて新境地に挑戦したというこの制作姿勢をまず評価したい。

そして、「新聞怖い」という新しいタイプの恐怖の創出に失敗しているかと言えば、実はそういうわけではない。怖さの種類は従来のものとは少し異なるけれども、やっぱり「怖い」のだ。

さらに、鶴田監督のもう一方の作風である「少し不思議だが心温まる」という観点から観れば、<家族愛>の物語として、芯が通っていることがわかる。

「ホラー映画とは何か」ということの再定義。それをこの『予言』は観る側に求めているのでないだろうか。

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コメント

  1. 予言

    何気に『リング』を思い出した。松嶋奈々子が出てればよかったのに。が、まったく関係ありません。。ノリピー(古!)かわいいなぁ。きれい。です。えーと。でも、これはホラーじゃないな。家族愛?なんだ、なんだ。家族愛というには、ゆがんでる気がします。。まぁ、でも……

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