名実ともに日本を代表するアニメ監督である押井守氏のエッセイ集。本書で語られているのは、『パトレイバー』『うる星やつら』『イノセンス』といった具体的な作品の裏話であり、アニメ業界全体の問題点であり、映画監督、表現者としての喜びや苦悩だ。
だから、そういった話に興味のある人は、存分に楽しめることだろう。
しかしながら、アニメにまったく興味のない人でも、実は「人生」の道標を示した本として読むこともできるのだ。
とくに、「(絵コンテを)一日に必ず十枚は描く。そして、絶対十枚までしか描かない」という取り決め(P.257)は、本質の部分で、仕事の分野を問わず(学生の「勉強」も含めて)普遍的にあてはまることのように思う。
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