過疎化が進む村で、人々が首を斬られ次々と惨殺される。凶器は鎌──。
タイトルの「収穫祭」は、この「首狩り」のことを意味するのかと思いきや、ラストで真の意味が明らかにされ、でもよく考えると「首狩り」のことで合っているというのがおもしろいところ。
西澤保彦の作品は初めてだったが、なかなか読ませるではないか。
文庫本の帯には「予測不能」とあるが、こちらもミステリの読者としては“手だれ”だから、「なるべくあり得ない方向に予測はしてみるが、作者のほうが一枚上手で、ことごとく肩すかしを喰らう」というのが正確な表現だろう。
序盤の〈事件〉のシーンも、ちょっとずつおかしい記述があり、事件後の主人公たち(複数いる)もなんとなく異常で、今から思えば、ご都合主義という批判も可能かもしれないが、とにもかくにも「先を読みたい」と思わせる筆致は見事。
蛇足だけど、装幀は単行本のほうがよいね。
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