衿野未矢『依存症の女たち』『依存症の男と女たち』(本)──「依存症」の相手に向き合う態度に好感が持てる

就職の相談をしている最中、相手が話しているのを遮ってケータイに出てしまう女子大生。少しでも空腹を覚えるとお菓子やおにぎりなどを口にしてしまい、常に何か食べている状態になっているOL。

いずれも、犯罪というわけじゃない。社会的に直ちに「悪」とされるわけじゃない。本人の生命に関わるわけでもない。

ただ、ちょっと周りの人間に迷惑をかけるかもしれない、客観的に見ると、本人が“不幸”になっているかもしれない、というだけだ。

そんな人々の状況を本書は「依存症」という概念で分析していく。

そもそも社会的に問題とされない行為を扱うわけだから、ともすれば「大きなお世話」であり、取材対象者の人格攻撃に陥ってしまう恐れがある。

ところが本書は、取材対象者に人間的な嫌悪感を覚え、距離を置いたりすることはあっても、その視点は極めて冷静かつ論理的だ。

筆者自身も「買い物依存症」だったという過去を持っているせいか、対象者に向き合う際の真摯な態度に好感が持てる。これは特筆すべき点だろう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


おしらせ

現在は〈ぎゃふん工房の作品レビュー〉gyahunkoubou.comにて更新しています。

こちらの記事もどうぞ

  1. 「…させていただく」という言葉について書かせていただくけど勘弁していただきマンボでウッ!(歌:田中真弓)

  2. 謎のコード「ビー・エー・ケー・エー・オー・ダッシュ」とは?

  3. 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(映画)──作品の本質を制作陣が十分に自覚したリメイク

  4. 『予言』(映画)──「ホラー映画とは何か」を考えさせられる

  5. 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:全記録全集』を買っちゃった

TOP