西澤保彦『収穫祭』──フラフラした記述で予測がことごとくはずされる

過疎化が進む村で、人々が首を斬られ次々と惨殺される。凶器は鎌──。

タイトルの「収穫祭」は、この「首狩り」のことを意味するのかと思いきや、ラストで真の意味が明らかにされ、でもよく考えると「首狩り」のことで合っているというのがおもしろいところ。

西澤保彦の作品は初めてだったが、なかなか読ませるではないか。

文庫本の帯には「予測不能」とあるが、こちらもミステリの読者としては“手だれ”だから、「なるべくあり得ない方向に予測はしてみるが、作者のほうが一枚上手で、ことごとく肩すかしを喰らう」というのが正確な表現だろう。

序盤の〈事件〉のシーンも、ちょっとずつおかしい記述があり、事件後の主人公たち(複数いる)もなんとなく異常で、今から思えば、ご都合主義という批判も可能かもしれないが、とにもかくにも「先を読みたい」と思わせる筆致は見事。

蛇足だけど、装幀は単行本のほうがよいね。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


おしらせ

現在は〈ぎゃふん工房の作品レビュー〉gyahunkoubou.comにて更新しています。

こちらの記事もどうぞ

  1. 怪談を作ったので読んでみた3「閉まるドアにご注意ください」

  2. 『キル・ビル Vol.2』(映画)──「長いひとつの映画の後半部分」という側面をどう見るか

  3. 新ブログ4月の人気記事ベスト10をご紹介!

  4. 東野圭吾『片想い』(本)──東野作品には珍しい「複雑」な話だが……

  5. 『センパイ・秘密の恋』(本)

TOP