『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』(映画)──鑑賞して初めてわかる“豪華声優陣”の意味

阿部寛、柴咲コウ、宇梶剛士という本作品のウリである“豪華声優陣”は、たしかに知名度では“豪華”かもしれないし、実写映画で実力のある役者であることを認めるのにやぶさかではない。

だが、ぎゃふん工房は、洋画の吹き替え、アニメのキャスティングに対して、非常に厳しい批評家で知られている(おそらく一部では)。

物語の冒頭、本作品の主要キャラクターであるサウザー、シュウ、トキが登場するが、それぞれ大塚明夫、大塚芳忠、堀内賢雄と、日本の声優界の第一線で活躍する主役級のベテランが惜しげもなくキャスティングされているのにまず驚く。

そのなかにあって、役者としては実力派であっても、アニメのアフレコはおそらく素人であろう、阿部、柴咲、宇梶は、まわりがまわりだけに、違和感しかもたらさないのではないか、というのが作品開始直後の予測であった。

しかし、物語が進むにつれて、この声優のキャスティングが実に当を得たものであることがわかる。

本作品において、事実上の主役はシュウであり、「殉愛」を貫く男の悲哀を大塚芳忠が見事に演じる。サウザーの“悪役”ぶりは大塚明夫が深みを加え、トキの貫録は堀内賢雄がかもしだしている。

ラオウは、その外見とは裏腹に、覇者を目指す猛将というよりも、世界制覇という強迫観念の苦悩を背負った男として描かれており、その意味で、宇梶の声の細さはそれほど的外れではないと言える。

柴咲のレイナも、これまた外見にイメージとは異なり、男勝りの荒々しい女であることを考えると、実は役柄に合っている。

ケンシロウに至っては、もはや狂言回しの役割しか負っておらず、誰が演じても問題ないキャラクターとなっている(ただし、個人的には阿部は3人のなかでもっとも役にハマっていると評価できる)。

魅力的であるが、しかし荒唐無稽な世界を描く物語において、観客が感情移入するためには、普遍的な真理が必要だ。そして、その真理を作品に定着させるのは、「人間」を演じる役者であり、アニメの場合は声優だ。

本作品で「人間」を演じているのが、大塚明夫、大塚芳忠、堀内賢雄であることから、人間ドラマとして非常にレベルの高いものになっている。

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コメント

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