『崖の上のポニョ』(映画)──“ポニョの魔法”にうまくかかることができれば……

“ポニョの魔法”は、自分を人間の姿に変えたり、模型を少し大きくするだけ。キキがホウキに乗って空を飛ぶのと同じくらいのちっぽけなものだ。だから、すべての人がかかる魔法ではないのかもしれない。

『千と千尋の神隠し』以降の宮崎駿作品の楽しみ方は、それまでの作品とは大きく異なる。アニメーションが見るものに与える原始的な悦び、それは極端に言えば、〈動き〉に対する生理的な快楽。それを享受するのが正しい楽しみ方だ。物語性やテーマ性を読み取ることもできるかもしれない。でも、それは二の次なのだ。

その観点から見ると、“津波”に乗ってポニョが走るシーンは、この作品の白眉であり、映像作品のひとつの頂点を見ることができる。このシーンは天下のピクサーでも再現不能に違いない。『キング・コング』のピーター=ジャクソンならやってくれそうではあるが、さすがにここまではできまい。

リサの運転が乱暴? 宗介が親を名前で呼んでる? ポニョの父親の意図が不明? ……などの細かいツッコミが頭に浮かぶ人は残念だ。そもそもポニョが空想上のキャラクターであり、この作品自体が大いなるファンタジーであることを忘れている。つまり“ポニョの魔法”が効かなかったのだ。

“ポニョの魔法”にかかるかどうかは、子どもも大人も、男も女も関係ない。もはや感性とか素質の問題だ。

“ポニョの魔法”にかかった人ならば、サンドイッチをリュックサックに詰め、水筒にスープを入れて、小さな冒険の旅に出るシーンで、心躍らせることができるはず。『天空の城ラピュタ』のちょっとした再現と見ることすらできるのだ。

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