【声優学入門】「ルパン三世」新キャスト──山ちゃんが一番違和感があった理由とは?

12月2日放送の「金曜特別ロードショー ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜」で、銭形警部、峰不二子、石川五ェ門のキャストが一新された。
事前に発表されていた、
 銭形警部:山寺宏一
 石川五ェ門:浪川大輔
 峰不二子:沢城みゆき
という配役を見て思ったことは、
「山ちゃんならまったく問題ないだろう、浪川さんも五ェ門のイメージはひとかけらもないが、まあなんとかやってくれるだろう」というものであった。
問題は、峰不二子の沢城さんで、アニメ界では人気声優のひとりであるが、どちらかというと洋画の吹き替え派の当ブログでは、あまりなじみがない。
沢城さんの声を聞いたのは、「ぴたてん」の樋口湖太郎、「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」の中島ヒカル(冬月チハル)、そして「HUNTER×HUNTER」のクラピカだけだ。
湖太郎、クラピカは少年であり、中島ヒカルは女の子であるが、学級委員長であり凛とした性格のキャラクターである。
つまり、峰不二子のイメージはまったくない──というより、真逆の役柄ばかりだ。
以上のような予備知識をふまえたうえで、いざ番組を視聴してみたところ……。
あろうことか、もっとも違和感がないのが峰不二子で、逆に違和感の残るのが銭形警部であった。
これは予想外、衝撃、とんだ番狂わせ、だ。
沢城さんはまだ二十代半ばのはずだが、その若さで峰不二子ができるなど、誰が予想できただろうか。
浪川さんの声は、声変りする前の1980年代から、最近でも『レベルE』『カイジ』『HUNTER×HUNTER』と、ずっと“お耳”にかかっているのだが、「浪川大輔」は息を潜め、見事に五ェ門になりきっている。
そして、違和感の残る山ちゃんであるが、これはほかのふたりと違って、単に先代の“モノマネ”をするのではなく、少し自分なりのアレンジを加えているということなのだ。
「違和感」といっても、9割がた納谷悟朗さんにしか聞こえず、ところどころ山ちゃんの風味が顔を出すというだけのこと。今回は違和感が残っても、今後回数を重ねるにつれて、これがよい具合に生きてくるはずだ。
ルパンの栗田貫一さん、次元の小林清志さんは続投であり、この部分で安定感を保持しつつ、全体的に若返りを図るという、高度なキャスティングが本作では行なわれたということができる。
もちろん、ゲストキャラの石田彰さん(氷室)、野沢雅子さん(藤堂)が作品に華を添えていることは言うまでもない。
今回はあくまで「声優学入門」なので、作品それ自体に触れる余裕がないが、これまた劇場版アニメのようなアクションが展開し、新キャスト以外にも見どころの多い一本であったことは書き添えておきたい。

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