『死刑』──賛成派・反対派のどちらでも参考になる

ここ1週間ほど〈死刑〉について論じてきましたので、ここで〈死刑〉を考える際に参考になりそうな本をご紹介します。

書名はそのものズバリ『死刑』。著者は読売新聞社会部です。

先日のエントリーなどで批判の対象にしているとおり、『読売新聞』そのものは死刑賛成論者だと思われます。

では、この本がバリバリの賛成論を展開しているかといえば、そうではなく反対派の当ブログが読んでも大いに参考になります。

死刑囚はもちろん、被害者の遺族、死刑囚の家族、裁判官、教誨師と、〈死刑〉に関わるあらゆる人たちに取材し、彼ら彼女らの心情や苦悩を伝えています。

死刑を廃止した外国の例なども紹介されており、新聞本紙が賛成派ということを加味すると、〈中立〉、いやどちらかといえば反対派の本のようにも思えてきます。

死刑賛成派は被害者(の家族)、反対派は加害者(の家族)の利益に重きをおきがちですが、賛成するにしても、反対するにしても、あらゆる立場の人の視点から〈死刑〉を考える必要があるでしょう。また、その必要性がわかっていても、なかなか適切な資料は見つからないので、この本はとても有意義な一冊といえると思います。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


こちらの記事もどうぞ

  1. ごまっとう『シングルV「SHALL WE LOVE?」』(DVD)──3人が一緒にいるのは“仲が良い”からではない

  2. 『美女と野獣』(映画)──「やっぱり見た目が大事?」という展開への賛否

  3. 【死刑】なぜ法を守らなければならないか[パート3/5]──『古畑任三郎』

  4. ゾンビに人権はあるか?[1]──『バイオハザード4』から〈真実〉を見つける

  5. 人は〈国家〉という名の〈神〉を求めているのではないか

TOP