石持浅海『Rのつく月には気をつけよう』──これまた「推理ショー」の見事な舞台装置

Img20120419001
「推理ショー」を行なうための魅力的な舞台装置を用意する。その手腕は他の追随を許さない。
このブログでは石持作品をそう評してきた。
今作は、ご多分に漏れず「推理ショー」が堪能できるわけだが、何か事件が起こるわけじゃない。気が置けない仲間たちが酒と肴を楽しみながら、“人間関係”の機微について、ちょっと論理を働かせるだけだ。
とはいえ、これも立派な「推理ショー」には違いない。
何も人を殺さなくても、「魅力的な舞台装置」は作れる。それを証明した逸品といえる。
最後のどんでん返しも、実にあざやか。

【Rのつく月には気をつけよう】
石持浅海
祥伝社文庫
￥600

こちらの記事もおすすめです

  1. 石持浅海『耳をふさいで夜を走る』──今回の推理の対象は殺人ではない
  2. 石持浅海『扉は閉ざされたまま』──絵に描いたようなミステリーだからこそ盤石
  3. 『君の望む死に方』──舞台設定は特殊だが正統派の本格推理ショーが堪能できる
  4. 小野不由美『屍鬼』（書籍）──ゲーム『サイレン』の何倍も怖いホラー小説

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


おしらせ

現在は〈ぎゃふん工房の作品レビュー〉gyahunkoubou.comにて更新しています。

人気の記事

こちらの記事もどうぞ

  1. 小野不由美『屍鬼』（書籍）──ゲーム『サイレン』の何倍も怖いホラー小説

  2. 「私を見て！ヌードのポートレート」「オノデラユキ 写真の迷宮へ」を見てきた

  3. 「サラメシ」──食欲よりも“のぞき見”の欲望を満たしてくれる職業紹介番組

  4. DRM『ＤＲＭ』（ＣＤ）──ユニット名の変更で変わるもの、変わらないもの

  5. 『C』──後出しジャンケン的な世界観の開陳が惜しいかな

カテゴリー

アーカイブ

TOP