「子どもを性の対象とする人たち」を情動的に非難追及するだけの内容を想像していたのだが(そしてそんな本はあんまり読みたくないなあと思っていたのだが)、著者自身も「性の対象」とされた“被害者”でありながら、“加害者”に対する視点はきわめて冷静沈着だ。
大学で法学を学ぼうとする者が、教科書の最初のページで目にするのは「正義の女神」、天秤と剣を持った女神の像だ。
つまり、「正義」は単純にどちらか一方に決められない。両者のバランスが大事、ということなのだ。
児童買春・児童ポルノの問題が毎日のように取り沙汰されている。
「子どもを性の対象をする人たち」と「性の対象とされる子どもたち」両方の「正義」を実現する「天秤」の均衡点はどこにあるのか?
それを探るための一助となる一冊だ。
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