橘玲『大震災の後で人生について語るということ』──世界は大震災の前から変わっていた 2011.08.06 この日本では、3.11を境に世界が変わった──というフンイキが漂っています。たしかに、これまで社会が抱えていた矛盾、齟齬、暗部が、瞬間的に、如実に、広範囲にわたってわれわれに突きつけられた、という意味では、その「フンイキ」を否定するつもりはありません。しかしながら、考えてみれば当たり前のこと
『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』──ジョジョ・マニアは共感できることしきり 2011.08.06 あれれ? なによ、なによ? 荒木先生がこんな本を書いてたの?──と驚きのあまり、そのままレジへ走ってしまった本です。荒木飛呂彦先生といえば、もはや説明するまでもなく、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者。『ドラえもん』『サザエさん』などと同様に、世代を超えて愛されるマンガの描き手であります。『ジョ
西村寿行『わが魂、久遠の闇に』──“人肉食い”の衝撃描写より復讐譚の男の“気概”に同調したい 2011.07.23 中高生のころの読書体験は人格形成に大きな影響を与えると思いますが、私の場合、星新一、筒井康隆と並んで、貪るように読み倒したのが西村寿行作品でした。 先日、久しぶりに読みたくなって押し入れから引っ張り出したので、そのレビューを書いてみたいと思います。有名大企業の重役が、幼子を連れた人妻を強姦。コト
貫井徳郎『空白の叫び(上)(中)(下)』──〈心の闇〉を持つ者は誰か? 2011.05.15 はい。〈心の闇〉でございます。奇しくも、ちょっと前に読んだ貴志祐介『新世界より』三部作は、当然〈心の闇〉が読めると思っていたのに、実際はちがっていたので、その部分だけは残念だった、と前のエントリーでコメントしました。考えてみると、貫井徳郎も〈心の闇〉の作家だったのを思い出しました。というより
貴志祐介『新世界より(上)(中)(下)』──テレビゲーム世代には親和性が高いけど… 2011.03.26 1000年後の日本。旧世紀の文明は滅び、呪力が支配する世界。文庫本3冊(400字詰原稿用紙約2000枚)にわたって描かれる世界は、青春物語あり、ミステリーあり、ファンタジーあり、戦争アクションありの痛快エンターテイメントに仕上がっています。とくに私たち“テレビゲーム世代”には親和性が高く、超
石持浅海『扉は閉ざされたまま』──絵に描いたようなミステリーだからこそ盤石 2011.02.19 石持浅海作品は初めてでしたが、たいへん楽しゅうございました。大学の同窓会で級友たちの集まった館で起こる密室殺人。「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などでおなじみの、いわゆる「倒叙ミステリ」というやつで、犯人も犯行方法も最初から明らか。登場人物は7人で、物語は館の中のみで展開。7人は飯を食っているか、寝
佐藤義和『バラエティ番組がなくなる日』──テレビってそんなに大切なの!? 2011.02.12 2011年2月8日『読売新聞』の社説「地デジ完全移行 残された半年間で万全を期せ」でこんな記述がありました。テレビは、災害情報から娯楽番組まで多彩な情報を提供し、国民生活になくてはならないメディアである。高画質の映像や様々なサービスが楽しめ、視聴者のメリットも大きい。テレビは新聞
『センパイ・秘密の恋』コミック版が発売♪ 2011.01.22 ……という情報をまえのんBlogで知りました。あれ? おかしいなあ。原作本(小説)の編集担当だったんだけどな(・_・;)というわけで、発売日にさっそく買いに行きました。ええ、買いましたよ。いい歳したオッサンが、少女コミックを。個人的には“おともだちSDバージョン”が気に入りました。
まだまだお正月気分が抜けないので引き続き「戦争と平和」について考えてみた 2011.01.09 今年は、仕事始めの1日目から雑誌の校正作業というハードな幕開けでしたが、喉元過ぎれば三連休ということで、まだまだお正月気分が抜けません。といったわけで、引き続き今日も「戦争と平和」について考えてみます。1日目に、自分や他人の幸福を守るという〈目的〉を実現するための〈手段〉として日本国憲法が使えそうだ
お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみた──最終日:藤子・F・不二雄「宇宙船製造法」 2011.01.04 お正月に考える戦争と平和シリーズ。最終日の今日は、14年前にもミニコミ誌で取り上げたことがあるのですが、藤子・F・不二雄先生のSF短編「宇宙船製造法」(『みどりの守り神』中央公論社に所収)をご紹介したいと思います。 (さらに…)