『死刑』──賛成派・反対派のどちらでも参考になる 2012.04.07 ここ1週間ほど〈死刑〉について論じてきましたので、ここで〈死刑〉を考える際に参考になりそうな本をご紹介します。書名はそのものズバリ『死刑』。著者は読売新聞社会部です。先日のエントリーなどで批判の対象にしているとおり、『読売新聞』そのものは死刑賛成論者だと思われます。では、この本がバリバリ
【死刑】なぜ法を守らなければならないか[パート2/5]──福本伸行『無頼伝 涯』 2012.04.01 昨日は、「パッと見の印象に惑わされず、本質を見きわめることが大切」であることを学びました。 今回は、『カイジ』シリーズでおなじみ福本伸行先生の『無頼伝 涯』を題材に、「本質を見きわめる」ことの難しさを見てみましょう。 (さらに…)
東浩紀『一般意志2.0』──ネット上の〈知〉は〈一般意志〉になりえるか? 2012.03.24 ここは、「〈国家〉とはいかにあるべきか?」「理想の〈社会〉とは?」といった問いを考え続けているブログなので、「一般意志」という書名に惹かれてつい買ってしまいました。考えてみると東浩紀氏の著書を読むのは初めてであります。〈一般意志〉といえば、タイトルにあるとおりルソーの造り出した概念であるわ
死刑否定論者が考える「死刑肯定論」──『ジョジョの奇妙な冒険』にみる殺人に対する〈裁き〉 2012.03.17 このブログは死刑に反対の立場ですが、では否定論者があえて死刑を肯定する理論を構築するとどうなるか。今回はこれに取り組みたいと思います。これによって肯定論のメリット・デメリット、否定論のメリット・デメリットが見えてくるはずです。 (さらに…)
『ジェームズ・キャメロン 世界の終わりから未来を見つめる男』──「天才」とは何をどのように“努力”することなのか? 2012.02.12 「天才は1%のひらめきと99%の努力」と言ったのは、たしかエジソンだったかと思いますが、この「努力」の意味が長い間わかりませんでした。 いったい何をどのように「努力」すればいいのか。さて、ジェームズ=キャメロンといえば、もちろん“勝ち逃げ”“売り抜け”のハリウッド映画監督なわけですが、彼を見てい
石持浅海『耳をふさいで夜を走る』──今回の推理の対象は殺人ではない 2011.12.03 〈推理ショーが堪能できる王道ミステリー〉これまで読んだ石持作品に対して、このブログではそう評してきた。今回もそれは間違いない。となると、ふつうなら“自己模倣”“二番煎じ”などといった評価も可能なはずだ。でも、これはそうじゃない。殺人事件が起こる。その殺人犯が主人公。これは珍しくない。そし
西村寿行『去りなんいざ狂人の国を』──サリン事件でわかったこともたくさんある 2011.11.26 今週の大きなトピックのひとつが「オウム裁判すべて終結」でしょう。マスコミなどでは「裁判は終結したが謎は残る」という論調が主流のような印象があります。たしかに、一理あります。〈謎〉は残っているでしょう。一連の事件の〈謎〉は、究極的には〈人間〉や〈社会〉という存在そのものが持つ〈謎〉であって
西澤保彦『殺す』──どうしてこんなトリッキーなことするのかなあ 2011.11.13 ……というのが読後の感想(ファースト=インプレッション)。女子高校生の連続殺人事件。発見される遺体はすべて全裸。性的暴行の痕跡はないが、なぜか靴下だけが全員持ち去られている──。全体のテイストは絵に描いたような警察モノ、オーソドックスな推理小説。『収穫祭』と比べれば強引さはあまりないので、「
『君の望む死に方』──舞台設定は特殊だが正統派の本格推理ショーが堪能できる 2011.10.22 余命6か月というガン告知を受けた大企業の社長。彼は自らの贖罪のため、殺されて死ぬ最期を選ぶ。贖罪の相手を含む社員たちを研修の目的で呼び寄せながら、“犯行”の準備を整えていく──。個人的な読書体験としては、2つめの石持作品となります。前回が「絵に描いたようなミステリー」だったのに対し、今回は舞
【ジョジョ】「根掘り葉掘り」の「葉掘り」ってどういうことだああ〜〜!? 2011.08.13 『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部にギアッチョという敵スタンド使いが登場します。 その彼が、慣用句「根掘り葉掘り」の「葉掘り」の部分が納得できずにキレる、という描写がコミックの第54巻に収録されています。イタリア人のギアッチョさんがなぜ母語でないはずの日本語の表現を気にする? だいたい慣用句に理屈