お正月は暇なので「戦争と平和」について考えてみた──3日目:小林泰三「C 市」 2011.01.03 昨日は〈強盗論〉には「恣意的な状況設定」という問題があると述べました。では、恣意的でない状況設定、いいかたをかえれば、現実の世界に限りなく近いたとえ話とはどんなものか。今日はこれを考えてみましょう。 (さらに…)
西澤保彦『収穫祭』──フラフラした記述で予測がことごとくはずされる 2010.12.05 過疎化が進む村で、人々が首を斬られ次々と惨殺される。凶器は鎌──。タイトルの「収穫祭」は、この「首狩り」のことを意味するのかと思いきや、ラストで真の意味が明らかにされ、でもよく考えると「首狩り」のことで合っているというのがおもしろいところ。西澤保彦の作品は初めてだったが、なかなか読ませるでは
『欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち』──する側とされる側の「正義」の均衡点はどこにあるか 2010.10.16 「子どもを性の対象とする人たち」を情動的に非難追及するだけの内容を想像していたのだが(そしてそんな本はあんまり読みたくないなあと思っていたのだが)、著者自身も「性の対象」とされた“被害者”でありながら、“加害者”に対する視点はきわめて冷静沈着だ。大学で法学を学ぼうとする者が、教科書の最初のページ
モモちゃん引退(;ω;) 2010.10.10 元「ピチレモン」モデルの大山桃子さん(モモ)が引退するそうです。「ピチレモン」卒業後もブログが残っていたので、芸能活動は続けるのかなと思っていたのですが、学業に専念ということになったようです。「ピチモの生テレビ」では『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読
春橋哲史『疫病惑星を封鎖せよ』──空想科学の〈ワクワクドキドキ〉に浸れる本格正統派SFストーリー 2010.10.02 春橋氏の前作をこのブログでレビューしたのは2005年。実に5年の歳月をかけて練り込まれた超大作だ。前作は、ディティールの描写に重きが置かれていた(ように思われた)が、本作では細部の説明は抑えられ、そのぶん読者が行間を読み〈空想する余地〉が増えた。「伝染病によって多数の死者が出る」という凄惨な物
前田希美はじめての写真集『maenon.』きた! 2010.09.10 ボクが直接かかわった仕事ではないのだけれど 生テレビや本誌でさんざんお知らせしたので 注目せざるを得ないよな? だろ?というわけで、 またしてもプライベートで買ってみたよo(*^▽^*)oさて、まえのんとは何度もお仕事でご一緒しているわけだけど、実際に会ったときと、雑誌の写真で見るのとでは、
前田希美:原案『センパイ・秘密の恋』好評発売中 2010.08.15 いちおうローティーンの女の子向け恋愛小説だけど…先日のエントリーで すでにこの本のことを書いているので、 今さら感があるんだけど(゚ー゚;来月号で惜しくも卒業してしまう ローティーン向けファッション雑誌 『ピチレモン』のトップモデル 前田希美(まえのん)。 そのまえのんの原案の恋愛小説 『セ
『電子書籍の衝撃』(本) 2010.08.08 電子書籍とウェブサイトはどうちがうの?「そもそも電子書籍とは何か?」を突き詰めて考えていったとき頭を悩ませるのは「電子書籍とウェブサイトはどう違うのか」ということだ。そもそも、文字情報を広く伝達する手段として、従来は紙媒体(本・雑誌)がもっとも有効だったわけだが、パソコン・ケータイの普及やイ
『センパイ・秘密の恋』(本) 2010.07.18 ほんとうは「電子書籍元年」ではない今年は「電子書籍元年」と言われている。アマゾンのkindle(キンドル)が昨年に上陸、アップルのiPadが今年の5月に発売され、これらの機器が電子書籍のユーザーを増やすことに貢献するのではないかと考えられている。「元年」という言葉が使われている理由はわか
押井守『これが僕の回答である。1995-2004』(本)──「アニメ」だけでなく「人生」の作り方も書いてある 2005.05.29 名実ともに日本を代表するアニメ監督である押井守氏のエッセイ集。本書で語られているのは、『パトレイバー』『うる星やつら』『イノセンス』といった具体的な作品の裏話であり、アニメ業界全体の問題点であり、映画監督、表現者としての喜びや苦悩だ。だから、そういった話に興味のある人は、存分に楽しめることだろう