松浦亜弥『松浦シングルMクリップス1』(DVD)──“女狐”がその正体を見せたとき真の恐怖が始まる

松浦亜弥か、藤本美貴か。「仕事を取るか、家庭を取るか」と同等の、男が人生において迫られる究極の選択のひとつだ。もちろん俺は両方を選択した。松浦と藤本、両者のDVDを購入したのだ。

松浦亜弥。世間一般で言われているように、確かに美形であり、かわいい。ビデオクリップも、素材(=松浦)の魅力を最大限引きだす演出が目白押し。まさにビデオクリップのお手本、模範、見本誌、といった出来栄えだ。

しかし、藤本にあって、松浦にないもの。松浦に欠けている大切な何かがあることに気がついた。それは“色気”(と書いて「エロけ」と読む)。たとえるなら、松浦は血のつながった妹で、藤本は血のつながっていない妹。その違い。だから、松浦に“エロけ”を感じることはできないし、してはならぬのだ。

……と、今回の批評はここで終わるはずだった。ところが、あらためて見直してみて、とんでもないショットが紛れ込んでいるのを発見してしまった!

問題のショットは、5曲目「桃色片思い」の間奏部分(「あーや、あや、あや」のコーラスのところ)。バスタオルだけを身にまとった松浦がシャワー室で踊るシーンだ。「バスタオル」という点がとんでもないのではない。注目すべきはその表情。「これが松浦亜弥?」と我が目を疑ってしまうほどの別人ぶり、“エロけ”たっぷり、フェロモン全開なのだ。

たしかに、他の曲のビデオクリップも表情豊かで、表現力の高さを見せつけてくれるのだが、このバスタオル・ショットだけは破格。その意味では違和感すら覚えてしまう。

女狐が図らずもその正体を現してしまった、とでもいうのだろうか。ひょっとして、これが松浦の真の姿なのではないか。俺は見てはいけないもの、気づいてはいけないものに気づいてしまったのではないか。そんなふうに想像をめぐらせていくと、恐怖が湧いてくる。

おそるべし松浦亜弥、だ。

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