【死刑】自分が裁けば公平──『宇宙船レッド・ドワーフ号』

このブログでは、死刑反対の立場から、死刑を肯定する根拠を探っています。 その論理のひとつとして〈三角頭〉論というものを提案しました。 〈三角頭〉論は、ひとことで言えば、「裁くのは自分でなければならない」「自分が裁くなら正当化される」という考え方です。

これについてもう少し深く考察するために、今回はイギリス国営放送BBCのテレビドラマ『宇宙船レッド・ドワーフ号』を取り上げてみましょう。

第5シリーズ・第26話「地獄の人生裁判官」では、〈インクイジター〉というキャラクターが登場します。 〈インクイジター〉は、自己修復機能を持ったアンドロイドで、何万年も活動しているうちに、生きる意味とは有意義な人生を送ることだと悟り、タイムトラベルをしながら、無駄に生きている人間を抹殺しているのでした。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

「不要」と判断した人間に対し、〈インクイジター〉はまず手から赤い光線を出して、その人間を確保します。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

そして、その人間がいなかったら生まれていたであろう別の人物に魂を与えます。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

そのあと、不要な人間の肉体を消去します。この人間は歴史には存在しなかったことになります。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

〈レッド・ドワーフ号)の乗組員にも、この〈インクイジター〉が襲いかかります。

〈インクイジター〉の目的を聞いた乗組員たちは、激しく動揺します。「有意義な人生を送ってきた」と胸を張って言える者など、誰もいないからです。

主人公のリスターは、ふと冷静になり、「なぜアンドロイドごときに脅えなければならないの」と開き直ります。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

さて、そうこうしているうちに、〈インクイジター〉が乗組員の前に現れます。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

そして、“審判”が始まるのですが、最初にその対象に選ばれたリマーは、「インクイジター閣下、なんの権利があってそんなことをなさるのですか? 裁判の公平性は?」と、悪あがきですが、しかし正論を主張します。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

その言葉に対し、〈インクイジター〉は、「裁きは公平だ」と自信を持って答えます。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

その理由は、「裁くのは自分だから」というのです。〈インクイジター〉のマスクの下にあったのは、自分自身の顔でした。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

審判を受ける者が代われば、〈インクイジター〉はその者になります。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

審判の結果、リスターとロボットのクライテンの存在が消されることに決定しました。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

リスターはクライテンに「この危機を脱する秘策があるなら、今が実行の時だ」と言いますが……。

『宇宙船レッド・ドワーフ号』

リスターとクライテン、〈レッド・ドワーフ号〉のその後の運命については、ぜひみなさんで確かめてください。

さて、このエピソードは、乗組員たちが自分たちに襲いかかる不条理に対しどう立ち向かっていくのかを、SF的要素を加えながらコミカルに描いたものですが、「自分が裁けば公平」というコンセプトは、まさに〈三角頭〉論に通じます。

「〈インクイジター〉論」と言い換えてもいいかもしれないのですが、日本ではおそらく〈三角頭〉のほうが有名なので(あくまで比較すればの話ですが)、やはり〈三角頭〉論という名称をそのまま用いることにしましょう。

明日は、ここ1週間ほどの考察をふまえて、あらためて死刑の肯定論・否定論を考えてみたいと思います。

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