鈴木光司『エッジ』──角川ホラー文庫で出さなければ…

角川ホラー文庫である。にもかかわらずまったく怖くない。

「ホラー文庫だから怖くなければいけない」などとケツの穴の小さいことはいいたかないが、しかしところどころに「おっ、怖くなってきたぞ」と感じさせる部分があるだけに始末が悪い。

鈴木光司といえば『リング』。これも角川ホラー文庫であったが、まったく怖くなかったことを思い出した。

〈鈴木光司=角川ホラー文庫=怖い〉という先入観を持ってしまったこちらが悪いのかもしれない。

また、作者自身も「ホラー」に重きをおいていないのだろう。あくまでSF的な理屈をこねるのが目的のようにも思える。

であれば、「ホラー」でない普通の「角川文庫」でよかったのではないか。

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