「ゲームレビューを書こう」シリーズでは、ゲームの欠点を探そうとしない、まずは目の前にあるものを受け入れる。そんな話をしてきました。
それに関連して、筒井康隆氏の『朝のガスパール』(新潮文庫)に、興味深い記述がありましたのでご紹介します。
この作品は、朝日新聞の朝刊に連載されていたのものです。読者からの投書が作品内に登場するというおもしろい試みもなされています。
作品を批判するネットでの書き込みに対し、『朝のガスパール』の作者である櫟沢(=虚構内の人物)が反論として
自分の口に合わない小説の悪口は際限なしに言えるということをこの男は知らず、それを自分の能力だと思い込んだ。
と述べています。
ここでいう「小説」はそのまま「ゲーム」にも当てはまるでしょう。
ゲーム(に限らず「作品」)の欠点探しは、やりはじめるとキリがないですし、もっとタチが悪いのは、いちおうそれなりにレビューをした気持ちになれる、レビューの体裁は整ってしまうということです。
しかし、そこからは何も生み出されない。ひいては幸福なゲームライフを送ることに寄与しない、ということを銘記したいものです。
もちろん、そうは言っても、欠点しか思い浮かばないゲーム、というのもあるでしょう。
それは、何度も述べているように、そもそものゲーム選びの失敗、審美眼のなさに由来するもので、すべては自分に罪があります。
ですから、そういう場合は「何もしない」という態度をとることも必要なのです。
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