【声優学入門】『プロメテウス』──20世紀フォックス映画でこんな事態になるとは

『プロメテウス』は3D・日本語吹き替え版で鑑賞しました。 若手女優の剛力彩芽氏が主人公を演じることが宣伝されており、一抹の不安を感じていました。 剛力彩芽氏のことは私は知らなかったのですが、そのキャリアから考えて、その実力が評価されてのことではなく、まさに「宣伝」のためだけにキャスティングされているのではないか、という予感がありました。それは、観る側にとっても、そして本人にとっても不幸なことです。

たしかに、『プロメテウス』というタイトルでは、訴求力がないことは認めざるをえないでしょう。『エイリアン5』であれば、こんなことは必要ないはずですから。

もちろん、番狂わせというのはあります。 一見、「客寄せパンダ」として配役されていたのかと思いきや、きちんと役に溶け込み、作品を盛り上げていた例もあります。

パッと思いつくのは、『Mr.インクレディブル』の宮迫博之氏、『スチームボーイ』などの小西真奈美氏などです。

で、結果のほうですが、健闘していることは認めますが、やはり新進女優には荷が重かったといわざるをえないでしょう。 なぜなら、そのほかのキャストがベテラン・実力派ぞろいだからです。

  • エリザベス・ショウ → 剛力彩芽
  • デヴィッド → 宮本充
  • メレディス・ヴィッカーズ → 深見梨加
  • ピーター・ウェイランド → 納谷六朗
  • チャーリー・ホロウェイ → てらそままさき
  • ヤネック → 楠大典
  • ミルバーン → 落合弘治
  • ファイフィールド → 藤原啓治
  • フォード → 森結花
  • ラヴェル → 内田聡明
  • チャンス → 森田成一

劇中に剛力氏と藤原啓治さんが言い争いするシーンがありますが、こういうドラマ部分がとても辛い(沢城みゆきさんとかだったよかったなぁ)。

まあ、文句ばかりいっても始まらないので、そのほかのキャスティングを眺めてみましょう。 ストーリーを追いながら、その一方で「この声優さん誰かな?」と想像をめぐらすのが、吹き替え版鑑賞のもうひとつの楽しみです。

デイビッドの宮本さんは、すぐにわかりました。デイビッドはアンドロイドで、〈エイリアン〉のアンドロイドといえば、悪いヤツだったり、いいヤツだったりするわけですが、「今回はどっちだろう」と想像するのも楽しかったりします。

宮本さんなら「いい人」という感じがしますが、本作では感情を少し押し殺したような抑えた演技で、このキャラクターに深みを与えています。

メレディス・ヴィッカーズは、人間ですが、アンドロイドのデイビッド以上に非情な役柄。最初、田中敦子さんだと思って観ていたのですが、途中から「ん? ちがうかな」と違和感を覚えながらも、最後まで誰だかわかりませんでした。正解は深見梨加さんで、たしかに田中さんなら、もう少し温情な女性になりそうです。言い訳じゃないけど、田中敦子さんだと思う人もいるはずです。

ピーター・ウェイランドは本作の重鎮で、日本語版も大御所・納谷六朗さんが務めます。貫録たっぷりで、文句のつけようがありません。

ヤネックは頼りになる船長で、最後の最後まで東地宏樹さんだと思ってました。頼りがいがあるけども、すこし軽薄さも混じっているというのは、東地さんにぴったりなのですが、楠大典さんというのは意外です。東地さんと槙さんが似ているというのは、新たな発見でした。

そして、藤原啓治さんですが、こういうキャラクターを演じられる声優さんがいるというのは、日本の声優界が誇るべきところです。第一印象が軽い人物なのですが、それだけに危機的状況下のパニックぶりが映えます。これが、サスペンスを大いに盛り上げてくれるのです。

20世紀フォックスは、吹き替え派としては比較的信頼できる映画会社だと思っていますが、上記のような「大人の事情」を考慮すると、情状酌量の余地があるものの、やはり罪深いと言わざるをえません。 DVD、ブルーレイなどソフト化の際には、ちゃんとした声優さんが配役されたバージョンを希望したいですが、厳しいかな?

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