十年ぶりに再会した女は男になっていた。彼女から殺人を告白された主人公は、同級生たちの妻や友人たちとともに、彼女をかくまうことを画策する。
他の作家の作品と比べて、込み入った人間関係もないし、奇をてらったトリックもない、というのが東野作品の特徴だと思っていたが、本作はいつになく「複雑」だ。しかし、その複雑さが抱える本質を描くこと(「複雑さを描くこと」ではない点に注意)が執筆動機だろうから、読者としても大いに悩み混乱してみたいところだ。もちろん、登場人物の言動によって、仲間の絆の深さが炙り出される点は、他の東野作品と変わらない。
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- 東野圭吾『片想い』(本)──東野作品には珍しい「複雑」な話だが……
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