タイトルは『プロメテウス』。〈エイリアン〉シリーズの前日譚であるものの、あくまでも『エイリアン5』ではないので、いったんシリーズとは切り離して、SFサスペンスものとして鑑賞しました。
未知のものに対する期待と畏怖、未来の技術に対する憧憬、乗組員の生命が危機にさらされるときの焦燥感。
若手監督のような精鋭さはないものの、SFサスペンスとしてしっかりと作品をまとめあげる盤石な手腕は見事というほかありません。
ということで、〈エイリアン〉シリーズを知らない人でも、それなりに楽しい映画であると思われます。
では、シリーズを知っている人にとってはどうか?
ブリーフィーング→惑星に突入という一連の流れは、『エイリアン2』へのオマージュであるように思えます。
さらに、少し船外に出るシーンはあるものの、それは移動中だけで、基本は「宇宙船」の中だけで起こる出来事を描いています。
第1作目のような密閉感・孤独感はないものの、しかし限定空間を舞台にしている点で、第1作目を彷彿とさせます。
ところで、われわれが知っているエイリアンというのは、卵を人間の体内に産み付け、幼体がその中で育ち、あるていど成長すると体外に飛び出してくる、という生態を持っています。
そこで疑問なのは、まったくの異世界からやってきたはずのエイリアンが、人間の存在を前提としていることです。
個人的にはこれが永らく謎であったのですが、これが本作で氷解します。
これだけでも、シリーズのファンには必見の映画だと思います。
つまり、この映画で描かれているのは「人類の起源」だけでなく──と、これ以上はネタバレになるので、書くのをやめることにして、〈エイリアン〉シリーズのファンで、これから映画を見る人のために、覚えておくといいことがあるかもというポイントを挙げておきます。
- 今回の舞台は惑星LV-426ではない。LV-223である。したがって、「スペースジョッキー」は……。
- エンドクレジットに、H.R.ギーガーの名前がある。
- 物語は「宇宙船」の中で進行する。この「宇宙船」は英語に訳すと複数形になる。
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