『世界侵略:ロサンゼルス決戦』── またしてもテレビゲームのほうが勝ちなのか!? 2012.01.15 異星人からの侵略に立ち向かう兵士たちの姿を淡々と描く。淡々と──つまり、安っぽいヒューマニズムを振りかざさない製作姿勢には好感が持てる。あくまで主人公とその部隊に焦点をしぼり、マクロ的視点からの描写を切り捨てたことで、臨場感やリアリズムが増すことになった。ただ、これだったら「主人公の動かせる
『24 -TWENTY FOUR- シーズン7』──情を引きずらないから心に残る 2012.01.07 『24』シリーズは、理不尽、不条理が次々と登場人物に襲いかかる物語だ。しかし、シリーズも7作目ともなると、心まで喪失したかに見える主人公ジャック=バウアーには、もはや失うものは何もなく、どんなに困難な状況に追い込まれても、〈過酷な試練〉にはなり得ない。だから、その残酷な運命は、シーズン7のヒ
【声優学入門】「ルパン三世」新キャスト──山ちゃんが一番違和感があった理由とは? 2011.12.04 12月2日放送の「金曜特別ロードショー ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜」で、銭形警部、峰不二子、石川五ェ門のキャストが一新された。事前に発表されていた、 銭形警部:山寺宏一 石川五ェ門:浪川大輔 峰不二子:沢城みゆきという配役を見て思ったことは、「山ちゃんならまったく問題な
『エコエコアザラク ―黒井ミサ ファースト・エピソード―』──ホラー女優・まえのんのプロモーションビデオ 2011.10.30 「エコエコアザラク」は原作は未読で、映画も第一作目しか観ていないので、世界観の理解が足りないのかもしれませんが、結論から言えば、ホラー映画としての演出の拙さを(意外にも)まえのんの演技力がカバーしている作品です。「僕たちのまえのん」らしさを〈陽〉の部分とするならば、黒井ミサの持つ〈陰〉の部分をし
『リミット』──観てるこっちが息苦しい 2011.10.15 ネタバレにならないようにレビューも簡潔に。これは息苦しい。ほんとうに息の詰まる映画だ。これだけ状況に没入、主人公に感情移入するというのは、それだけ脚本がよくできているということでしょう。「どうしてこうなった?」が物語の中盤ぐらいで明らかになり、これはもっとひっぱってもよかったのではないか、と
【ヱヴァ】旧世紀版の3号機には誰の魂? 2011.08.21 8月26日(金)日本テレビ系「金曜ロードショー」にて、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』が放送されます。今回はそれに便乗して、ちょっとした「ヱヴァ」ネタをお送りしましょう。ただし、ここで語るのは15年前の旧世紀版のお話。でも、ちょっち「新劇場版」のネタバレを含みます。テーマは「3号機に
「サラメシ」──食欲よりも“のぞき見”の欲望を満たしてくれる職業紹介番組 2011.07.30 〈サラリーマンの昼食(サラメシ)から、働く人の今を見る〉というのが番組のコンセプト。〈食〉というのは人間の基本的な欲求のひとつであるからして、それを扱った“グルメ番組”はまさに“鉄板”。だから、ついついチャンネルを合わしてしまうわけです。──というのはあくまで“企画書”上の分析で、実際に番組を見てみ
『C』──後出しジャンケン的な世界観の開陳が惜しいかな 2011.07.16 監督:中村健治、キャラクターデザイン:橋本敬史の『化猫』コンビで、テレビ紹介文では「ホラー要素あり」とあったので見始めた作品です。実際は「どこにホラー要素が?」と疑問もありましたが、バトルシーンのダイナミズム、“異世界”の独創的なデザインなど、テレビアニメとは思えないクォリティに仕上がっていると感じ
『スーパー8』──昔のパロディでもオマージュでもない現代の新しい“ピカイチ☆”映画だ 2011.07.02 映画作りに熱中する子どもたちが撮影中、軍隊の貨物列車の脱線事故に遭遇。カメラのフィルムを現像してみるとそこに映っていたものは……?──と、あらすじを書いているだけで、“絵に描いたような”“典型的な”“ありふれた”モンスターもの、パニック映画の匂いが漂ってきます。実際、目の前で展開するのは、まさ
『告白』──ホラーとコメディの境界線を微妙なバランスで渡っていく映画 2011.05.07 発端は、中学1年生の教室。終業式のホームルーム。女性の担任教師が〈告白〉する。自分の娘は殺された。その犯人はこのクラスの中にいる、と。そして教師はさらに衝撃の〈告白〉を始めるのだった──。ここまでで物語開始から30分。息をつかせぬ30分。もうここで終わっていいのではないかと思ってしまうほど、濃密