『アウトレイジ』──もはやギャグにしかならないヤクザものに対する的確な視線が光る 2010.12.18 北野武監督のヤクザものと言えば、『ソナチネ』が最高峰で、『HANA-BI』はギリギリ許容範囲だが、以降はマンネリ化が進み、完成度が下がり続けている印象があった。で、満を持しての新作ヤクザものである。一見して「これまでとは違う!」と思わせるのは、セリフまわしと、論理的なストーリー展開だ。まずはセ
『アバター〈特別編〉』──3D劇場で体感したのは〈立体感〉よりも〈重量感〉 2010.10.24 おことわり:筆者は“通常版”を見逃してしまったので『アバター』は初見です。“Based on the movie by HAYAO MIYAZAKI”というクレジットがいつ出るのかとヒヤヒヤしたが、それは杞憂に終わった。ジェームズ=キャメロンの3D映画といえば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパ
『第9地区』──チープでもいいのにカッコよくしたところが正解 2010.09.20 南アフリカ共和国が物語の舞台で、異文化・異種間同士の争いを描いているということで、作り方によっては、いくらでも寓話的・教訓めいたものを含ませることはできるのに、あくまで観客に深く考えることを要求しない娯楽作品に仕上げたところがミソだ。この方向性であれば、エイリアンも人間が着ぐるみを着ているような
『フォース・カインド』──フェイク・ドキュメンタリーの新たな形? 2010.09.20 いろいろなところで「つまらない」という意見を目にするので、あまり期待せず、時間潰しのつもりで鑑賞。そんなマイナスのバイアスがかかっていたせいか、見終わってみると、意外に満足している自分に気がついた。フェイク・ドキュメンタリーは、「いかにも本物らしく作ってあるもの」と「どうせウソとわかっているのだか
ついつい見入っちゃう「すイエんサー」 2010.09.18 “いつもお世話になっております”方々が出ていらっしゃるということで、毎週土曜日の午前中はフラフラとチャンネルを合わせてしまうのですが、番組として観てもフツーに楽しめるお( ^ω^ )しかも、“おもしろい本”をつくる仕事をしている身としては とても参考になるエッセンスがてんこ盛りでなかなかあなどれない
『パラノーマル・アクティビティ』(映画)──どうせウソなら開き直りがほしかったなあ 2010.07.20 このあいだニコニコ動画で『ノロイ』を見た。映画館に足を運び、DVDも持っている作品であるが何度見てもおもしろい。おもしろい理由のひとつは「ウソとわかっているけどあえて挑発にのってみる」という見ている側の思惑と「『ウソとわかっているけどあえて挑発にのってみる』という挑発にのってみる」とい
『屍鬼』──声優チェック 2010.07.10 基本的にキャストは若い人(だと思う)がメインなので敏夫:大川透、辰巳:高木渉しかアイデントファイ※注できず。全体的に悪くはない(というかどうでもよい)。大川氏は、小説版『屍鬼』の敏夫のイメージには合っているが アニメ(コミック)版は違和感がある。もっとも、どのようなキャストであれ 初回は
『カイジ 人生逆転ゲーム』(映画)──あの世界が実写で見られるのは嬉しいが詰めの甘さがもったいない 2010.07.10 ジャンケンやEカードのルールを単純化し、 原作の持ち味であった心理描写に深みがなくなってしまった──のは、まあいいだろう。映画でマンガの魅力を100パーセント再現するのは土台ムリな話。なので、はなっからそこを期待しちゃいないし、原作のファンとしては「カイジ」の世界が実写で見られることに楽しみを見
『REC/レック2』(映画)──ゲームは映画に追いついた──では映画はゲームに…… 2010.05.16 『レック』シリーズについてレビューするとき、どうしてもP.O.V.(point of view=主観視点)について語りがちだ。だから、今作は前作と異なり、カメラ(視点)が複数あったりすることに注目して、そこから作品のおもしろさを考え始めてしまう。もちろん、それがまちがっているというわけじゃな
『オカルト』(映画)──安っぽくなるほど怖くなる 2009.08.30 フィクションをノンフィクションに見せかけた、いわゆる〈フェイク・ドキュメンタリー〉で、『ノロイ』の続編ともいうべき作品だ。ただ、同じ白石晃士監督の『ノロイ』と比較すると、映画としてのたたずまいが安っぽく、全体的にチープな印象が漂う。しかし、この安っぽさが異様に怖い。『ノロイ』は、不気