『エコエコアザラク ―黒井ミサ ファースト・エピソード―』──ホラー女優・まえのんのプロモーションビデオ 2011.10.30 映画・テレビ 「エコエコアザラク」は原作は未読で、映画も第一作目しか観ていないので、世界観の理解が足りないのかもしれませんが、結論から言えば、ホラー映画としての演出の拙さを(意外にも)まえのんの演技力がカバーしている作品です。「僕たちのまえのん」らしさを〈陽〉の部分とするならば、黒井ミサの持つ〈陰〉の部分をし
『君の望む死に方』──舞台設定は特殊だが正統派の本格推理ショーが堪能できる 2011.10.22 書籍・雑誌 余命6か月というガン告知を受けた大企業の社長。彼は自らの贖罪のため、殺されて死ぬ最期を選ぶ。贖罪の相手を含む社員たちを研修の目的で呼び寄せながら、“犯行”の準備を整えていく──。個人的な読書体験としては、2つめの石持作品となります。前回が「絵に描いたようなミステリー」だったのに対し、今回は舞
『リミット』──観てるこっちが息苦しい 2011.10.15 映画・テレビ ネタバレにならないようにレビューも簡潔に。これは息苦しい。ほんとうに息の詰まる映画だ。これだけ状況に没入、主人公に感情移入するというのは、それだけ脚本がよくできているということでしょう。「どうしてこうなった?」が物語の中盤ぐらいで明らかになり、これはもっとひっぱってもよかったのではないか、と
『レジスタンス3』──これこそほんとうの〈レジスタンス〉(=抵抗) 2011.10.10 ゲーム 「レジスタンス」という言葉には「微力ながらも信念を持って強大な力に〈抵抗〉する」というイメージがある。この第三作目をプレイしてから、前2作を振り返ると、戦っていたのはオフィシャルな軍隊だし、主人公は超人だし、厳密な意味での「レジスタンス」ではなかった気がしてくる。本作の主人公も、実際プレイして
『龍が如く OF THE END』──歓楽街で遊んでいる暇がない 2011.10.10 ゲーム 東日本大震災の影響で発売が延期され、3か月後に届いたパッケージには「がんばろう、日本!」の文字が……。売上の一部が義援金として寄付されるらしいから、この「日本」はわれわれの住む現実の「日本」かと思っていたら、じつはゲームの世界の「日本」なのであった。──というのは、半分冗談ではあるけれど、『
【ヱヴァ】旧世紀版の3号機には誰の魂? 2011.08.21 映画・テレビ 8月26日(金)日本テレビ系「金曜ロードショー」にて、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』が放送されます。今回はそれに便乗して、ちょっとした「ヱヴァ」ネタをお送りしましょう。ただし、ここで語るのは15年前の旧世紀版のお話。でも、ちょっち「新劇場版」のネタバレを含みます。テーマは「3号機に
【ジョジョ】「根掘り葉掘り」の「葉掘り」ってどういうことだああ〜〜!? 2011.08.13 書籍・雑誌 『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部にギアッチョという敵スタンド使いが登場します。 その彼が、慣用句「根掘り葉掘り」の「葉掘り」の部分が納得できずにキレる、という描写がコミックの第54巻に収録されています。イタリア人のギアッチョさんがなぜ母語でないはずの日本語の表現を気にする? だいたい慣用句に理屈
橘玲『大震災の後で人生について語るということ』──世界は大震災の前から変わっていた 2011.08.06 書籍・雑誌 この日本では、3.11を境に世界が変わった──というフンイキが漂っています。たしかに、これまで社会が抱えていた矛盾、齟齬、暗部が、瞬間的に、如実に、広範囲にわたってわれわれに突きつけられた、という意味では、その「フンイキ」を否定するつもりはありません。しかしながら、考えてみれば当たり前のこと
『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』──ジョジョ・マニアは共感できることしきり 2011.08.06 書籍・雑誌 あれれ? なによ、なによ? 荒木先生がこんな本を書いてたの?──と驚きのあまり、そのままレジへ走ってしまった本です。荒木飛呂彦先生といえば、もはや説明するまでもなく、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者。『ドラえもん』『サザエさん』などと同様に、世代を超えて愛されるマンガの描き手であります。『ジョ
「サラメシ」──食欲よりも“のぞき見”の欲望を満たしてくれる職業紹介番組 2011.07.30 映画・テレビ 〈サラリーマンの昼食(サラメシ)から、働く人の今を見る〉というのが番組のコンセプト。〈食〉というのは人間の基本的な欲求のひとつであるからして、それを扱った“グルメ番組”はまさに“鉄板”。だから、ついついチャンネルを合わしてしまうわけです。──というのはあくまで“企画書”上の分析で、実際に番組を見てみ